お話
いつまで続ければいいのだろう。
朝が美しくて、夜は静かで、雨さえ愛しているお前らの愛とやさしさのなかで、いつまでも歩いて行ける。
手を繋いで、
そのままでいいよ、愛しているから。
顔が見たいと夜を眺める余裕を飛び出して、きみを呼びたい。
ほんとうに、愛がそこにあるから。
ただ、あるから。
雨は、植物が育つから、美しいのですか。
子どもは無垢だから、無条件なのですか。
わたしはわたしだから、わたしなのですか。
愛は育み、恋は芽生えるのですか。
産まれ落とされる前から、既に転がっている愛の飴玉に、愛はそこにありますなんて言わなきゃならないのなら、畑を燃やして、雨を呼んで、恵みだと、
朝は美しくて、夜は静かでと、歌ってほしい。
歌えるのでしょうね。
乱雑な強い合唱を、土砂降りの日に歌ってください。
困った顔をしないで。
つまらない話は嫌いです。
留め
生まれ落ちたそのときから、湧き上がっては、溢れこぼれる愛が、
小さな体から濁流し、
川となって、
トイレに流れていく。
愛は油性なので、薄れることなく世界に流れ続ける。
海を渡り、遠い森の先住民にも。
雨となってはみんなを落胆させて来ました。
ごめんなさい。
話が合わないように、
オシャレの呪いを受けるように、
こっそり流した愛を見送る。
また雨となって、あなたを濡らすことはできません。
あなたは部屋にこもっているし、素敵な服を濡らしたくはないだろうから。
私の愛だけは、無償だと知らないでいてください。
雨は、木々を育てるから美しいのだと、
見誤った愛を紡いでください。
あなたに映らないものさえ、
あなたを通して愛している。
ひとりでいきていけるよ
わたしのことばしか、わたしを救わない。
駅で立てなくなったとき、「『つらかったね』と言ってもらった」。
「もう、生きられません。
生きていくには、あまりにも傷ついた。
爪が伸びるみたいに。」と、詩のことばたちがわたしのなかだけで死んでくれた。
わたしのピンクが受け入れられなかったときも、「世界が怖いから、気分を着ないと死んでしまうのです。黒い時、そのまま受け入れるとき。黒をカラービニールシートで覆うとき。そういう風な毛布が必要なのです。恥ずかしくも。」と、あなたを肯定したいやさしさだけで雑誌を買う手を止めてくれた。
ぼやけた灰色の愛が死んでしまったと、わかったとき、それは彼のことばだった。シンプルなひとつに、わたしのことばは死んでしまった。
目からことばが流れることなく、脳に逆流して、びりびりと死んでいく。
だれもわたしを救えないね。